浮気

不倫はどこから?不貞行為の定義と慰謝料の条件について詳しく解説

不倫はどこから?不貞行為の定義と慰謝料の条件について詳しく解説

不倫はどこから?

不貞行為の定義は?

世間一般で言われている不倫のイメージは非常にあいまいで、異性とメールのやり取りをしたら不倫!という考えを持っている人もいるかもしれません。

不倫とは、配偶者以外の異性と秘密裏に恋愛や肉体関係を持つ行為を指します。

しかしいくら片方が不倫を主張しても、その行為が法的に認められる「不貞行為」に当たらなければ、不倫を理由にした慰謝料請求や離婚はほとんどできません。

当記事では、どこからが不倫なのか不貞行為の定義や、慰謝料の条件について具体的な例を挙げながら紹介します。

不倫について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  1. 不倫はどこから?
  2. 不貞行為の定義
  3. 不倫の具体例
  4. 肉体関係がないと慰謝料請求できない
  5. 不倫と認められるかは証拠次第
  6. 不倫による慰謝料請求の相場
  7. 慰謝料請求する方法

不倫はどこから?法的な不倫の定義

不倫はどこから?法的な不倫の定義
不倫とは、配偶者がいるのにもかかわらず他の異性と関係を持つことを指します。

しかし関係を持つといってもどこからが不倫でどこまでが知人・友人関係なのかはわかりづらいところです。

仕事の関係や友人同士の飲み会など、結婚後も異性と話す機会はたくさんあります。

もちろん異性と話すだけでは不倫になりませんが、不倫の定義をしっかり押さえておかなければ不倫の疑いがあるという理由だけで夫婦関係が悪くなってしまうかもしれません

以下では、法的に考えてどこからが不倫だと定義されているのかを説明していきます。

不貞行為の定義とは

不貞行為の定義とは
不倫は法的に不貞行為と言われます。

不貞行為とは、「婚姻関係、婚約関係、内縁関係にある人以外の異性と性交渉をすること」です。

不貞行為は貞操義務(夫婦が相互に配偶者以外の相手と性的関係を持たない義務)に反する行為で、不貞行為をされた側は慰謝料の請求、不貞行為を事由とする離婚が可能です。

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
引用:民法第七百七十条|e-Gov法令検索

恋愛感情がなくても不貞行為に当たる

恋愛感情がなくても性交渉をした場合、不貞行為に当たります。

繰り返しになりますが、不貞行為とは「配偶者以外の異性と性交渉をすること」を指します。

つまり、不貞行為に恋愛感情の有無は問われていないのです。

そのため、例えば配偶者が風俗店で繰り返し性的サービスを受けていたという場合、不貞行為に当てはまる可能性が高いです。

風俗店のサービス内容にもよりますが、性交渉やそれに近い行為は、たとえ恋愛感情が全くない場合でも十分不貞行為になり得ます

浮気と不倫の違いとは

浮気は広い場面で使われ、結婚しているかどうかに関わらず、ほかの異性と関係を持つこと全般に当てはまる言葉です。

また、「浮気」という言葉は肉体関係がなくても、一時的な関係であっても使います。

一方不倫は「配偶者以外の異性と関係を持つこと」を指すとされており、浮気よりも使われる範囲が狭くなっています。

また、不倫・不貞行為は肉体関係があり、なおかつ継続してその関係が続くことを指しています。

どこからが不倫なのか線引きになる具体例

どこからが不倫なのか線引きになる具体例
どこからが不倫なのか、線引きになる具体例を以下の8つ紹介します。

  1. 「一緒に食事」は不倫ではない
  2. 「合コンや婚活パーティに参加」は不倫ではない
  3. 「親密なメールのやりとり」は不倫ではない
  4. 「キスをする」のは不倫ではない
  5. 「ハグをする」のは不倫ではない
  6. 「マッチングアプリを利用」は不倫ではない
  7. 「肉体的な関係を持つ」のは不倫
  8. 不貞行為の相手が同性の場合

不倫と判断するかは、不貞行為の有無が必要です。

肉体関係の有無が重要とは言っても、「配偶者がその行為によってどれだけ嫌な思いをしているか」が特に慰謝料請求において大切なポイントとなります。

しかし裁判で争うには全く関係のない第三者から見ても「この人は不倫をしている」と理解できるような証拠が必要になります。

では、法的に認められる不倫のラインを具体的な例をもとに見ていきましょう。

1.「一緒に食事」は不倫ではない

友人同士、または仕事の関係で異性と一緒に食事に行くことは日常を送る上で十分あり得るため、不貞行為には当たりません。

また、配偶者以外の異性と二人でデートに行った、という場合でも恋愛感情があるだけでは不貞行為になりません。

他の異性とデートに行くなんて許せないと思う方がほとんどだと思いますが、恋愛感情をだれが見てもわかるように証明するのはとても難しく、デートだけでは法的に認められません

2.「合コンや婚活パーティに参加」は不倫ではない

合コンや婚活パーティへの参加も、肉体関係の証明になりませんので、不貞行為にはなりません。

感情として納得のいかない部分も多いですが、基本的に合コンであろうと、婚活パーティであろうと異性と話す、食事をするだけでは不貞行為とは認められませんので注意してください。

3.「親密なメールのやりとり」は不倫ではない

配偶者が異性と性的な内容を含む親密なメールのやり取りをしていても、それだけでは不貞行為になりません。

明らかに性行為があったと判断できる文面がある場合は証拠として有効ですが、その線引きは非常に難しいところです。

そのため、不倫の確かな証拠を手に入れたいという場合にはメール以外の証拠も持っておくことをおすすめします。

4.「キスをする」のは不倫ではない

キスは法的には肉体関係に入らないとされており、不貞行為として認められません。

配偶者以外とのキスは、法律上の考え方と私たちが感じる気持ちが大きく異なるポイントですので、納得のいかない方も多いかもしれません。

しかし残念ながら慰謝料請求をする場合、キスをしている写真だけでは不貞行為の証拠として十分とは言えません

5.「ハグをする」のは不倫ではない

一般的に、ハグをするだけで不倫と判断できません

ただし、問題はそのハグがどのような状況や意図で行われているかです。

例えば、隠れて会う場面や特別な感情が伴っている場合、不倫を疑う材料となる可能性があります。

とはいえ、ハグだけでは不倫と判断されることはなく、軽率に結論を出すべきではありません。

6.「マッチングアプリを利用」は不倫ではない

法律上の不貞行為は肉体関係があることが条件であり、マッチングアプリの利用だけでは不倫には該当しません

ただし、問題はその目的や行動です。

例えば、異性と密かにやり取りを続けている場合や、実際に会う約束をしている場合は、不倫の入り口と捉えられる可能性があります。

また、アプリの利用そのものが配偶者の信頼を裏切る行為と感じられる場合もあります。

7.「肉体的な関係を持つ」のは不倫

配偶者以外の異性と性的な関係を持った場合、法的にも不貞行為が認められます。

また、場合にもよりますが直接的な性行為でなくても、ほとんど性行為と言えるようなことや、疑似的な性行為は、法律でも不貞行為だと認められています。

もちろん証拠がなければ不貞行為の証明は難しいですが、性的な関係を持ったと証明できれば証拠としては十分です。

法的に不貞行為だと認められる場合、慰謝料の請求や不貞行為を理由とした離婚が出来るようになるので、配偶者が自分以外の異性と性交渉をしていると発覚した時点で今後どうするかを考えておいた方がよいでしょう。

8.不貞行為の相手が同性の場合

不貞行為の相手が同性だった場合、はっきりとした定義が決まっていません。

法律では「配偶者以外の異性」と関係を持った場合が不貞行為だというように定義しているため、この定義通りに考えると同性との関係は不貞行為として認められなくなってしまいます。

しかし、不貞行為ではないからといって離婚などが全くできないわけではありません。

配偶者が同性と関係を持ったことで夫婦生活が破綻し、「夫婦同士で性交渉が行われなくなった」「別居をすることになった」など婚姻を継続しがたい重大な事由にあたる場合、離婚請求などが出来るかもしれません。

同性との不貞行為については事例が少ないため、もし慰謝料請求や離婚でお悩みの場合は法律に詳しい専門家などに相談してみてください。

肉体関係がないと慰謝料請求できない

肉体関係がないと慰謝料請求できない
結論から言うと、肉体関係がなければ法律上、不倫として慰謝料請求をすることはできません。

不倫(不貞行為)として認められるには、婚姻関係にある配偶者以外の異性と肉体関係があったことが条件です。

そのため、単なる食事や連絡のやり取り、手をつなぐ行為だけでは慰謝料請求の対象にはなりません

ただし、明らかな恋愛関係や不適切な行動が繰り返されている場合、配偶者に精神的苦痛を与えたとして、別の形で責任を問える可能性があります。

一方で、肉体関係の証拠がなければ、法律上の不貞行為を立証するのは難しいため、証拠集めが重要です。

証拠については、以下の項で詳しく解説します。

慰謝料を請求するには法的に有効な証拠が必要

慰謝料を請求するには法的に有効な証拠が必要
慰謝料を請求するには、法的に認められる証拠が必要になります。

では、証拠とは具体的どういったものを指すのでしょうか。

具体的には、以下の4つの状況に基づいて解説します。

  1. ラブホテルに出入りしている写真は証拠として有効
  2. メール・SNSの文面だけでは証拠にならない場合がある
  3. 領収書も効果的な証拠の一つ
  4. GPS記録だけでは証拠不十分

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ラブホテルに出入りしている写真は証拠として有効

ラブホテルなど、性的関係を持つ目的で行く場所に出入りしている写真や動画は最も強い証拠として有効です。

しかし一度の過ちは不貞行為になりませんので何度も出入りしていることが分かるよう、写真や動画を複数回撮影することが必要になります。

また、一般的にホテルの滞在時間が40分以上なければ性交渉の証明になりづらく、証拠として弱いと言われています。

さらに、ビジネスホテルであったり、相手の家に泊まったりしている場合は証拠として不十分な場合があります。

できればラブホテルに入る写真、ホテルから出てくる写真を複数枚手に入れるのがベストです。

メール・SNSの文面だけでは証拠にならない場合がある

かなり親密な内容のメールであっても、メールの文面のみで証拠にするのは不十分です。

しかし他の証拠と組み合わせることで有効な証拠になる場合もありますので、出来ればメールを撮影または印刷し、保存しておくのがよいでしょう。

また、メールの文面が明らかに性行為をしたと判断できるものであった場合、証拠として効果がある可能性が高くなります

証拠になりそうな文面は早めに記録に残しておくのがおすすめです。

領収書も効果的な証拠の一つ

レストランやカフェなど、日常的に行く場所の領収者は証拠になりませんが、ラブホテルなど肉体関係があったと判断できる場所の領収書は有効な証拠です。

他の領収書に混ざって捨てられているかもしれませんので、出来る限り早めに見つけて保管しておくのがよいでしょう。

また、クレジットカードの利用記録も証拠になりますので可能であればプリントアウトしておくとよいでしょう。

GPS記録だけでは証拠不十分

GPSやカーナビでつかんだ証拠だけでは不貞行為の立証は難しいです。

GPSの記録で証明できるのはホテルに行ったという事実だけですので、「一人で行った」「時間をつぶすためにしばらくそこに停車していた」という言い逃れが出来てしまうからです。

そのため、GPSとあわせて別の物的証拠を抑えておくと良いでしょう。

慰謝料請求の相場とは?金額が決まる条件

慰謝料請求の相場とは?金額が決まる条件
慰謝料請求の金額が決まる条件は、主に以下の7つの要因が影響します。

  1. 不倫の期間・回数
  2. 精神的苦痛の程度
  3. 配偶者・不倫相手の地位や年収
  4. 子供の有無
  5. 不貞行為を認めているか
  6. 婚姻期間の長さ
  7. 不貞行為だという自覚があったか

慰謝料は不倫の期間や収入、社会的地位など様々なポイントから総合的に判断されます。

以下では、具体的にどのような要素が慰謝料の額を左右するのか見ていきましょう。

1.不倫の期間・回数

一度だけの過ちなら不貞行為とは認められない場合もありますが、不倫期間が長く、回数が多い場合慰謝料の額は増えていきます

感情面から考えると、やはり長い期間不貞行為をされていた、という場合の方が精神的ショックが大きくなりますので、その分賠償しなければならない金額は増えます。

2.精神的苦痛の程度

精神的苦痛の程度で、慰謝料の金額は左右されます。

配偶者に不貞行為をされたとき、そのショックは計り知れないものです。

しかし精神的な苦痛は他人に見えないため、自分の受けた苦痛と慰謝料の額が合っていない、と感じるケースもあります。

もし不貞行為によるショックが原因でうつ病などの精神疾患を引き起こしてしまった場合、医師の診断書があると慰謝料の額を増やすことが出来るかもしれません。

不倫のショックで日常生活を送るのもつらい、という場合は一度精神科・心療内科に行ってみるのもおすすめです。

3.配偶者・不倫相手の地位や年収

慰謝料を請求する側よりも配偶者・不倫相手の社会的地位が高い場合、慰謝料の額は増える傾向にあります。

反対に、不貞行為の相手が無職など経済的余裕がない場合、請求できる慰謝料は少なくなってしまいます

慰謝料を関係のない別の人に払ってもらうということはできませんので、出来るだけ多く慰謝料をもらいたい場合はその気持ちを弁護士に伝えるとよいでしょう。

4.子供の有無

子供がいる場合、慰謝料の額は増える傾向にあります

子供にとって、親の不貞行為は大きな精神的苦痛につながるためです。

また、不貞行為によって家庭が崩壊し、離婚に至ってしまった場合子供への影響はさらに大きくなると考えられるため、慰謝料は増えていきます。

5.不貞行為を認めているか

不貞行為をしていたという確かな証拠があるのに配偶者、不倫相手が不貞行為を認めない場合は慰謝料が高くなる場合があります。

証拠があるのに不倫の事実を認めないということは不貞行為を反省しておらず、嘘をついているということになりますのでその分悪質だと考えられえます。

6.婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど不貞行為による精神的ショックは大きくなると考えられるので、慰謝料は増えます。

婚姻というのは、婚姻届けを出さずに夫婦として過ごす「内縁関係」「事実婚」であっても認められますので、婚姻届を出していないという場合も慰謝料請求は十分可能です。

一方で単に一緒に暮らしているというだけでは婚姻とも、婚約関係とも認められませんので慰謝料の請求はできません。

7.不貞行為だという自覚があったか

不貞行為において、配偶者には確実に不貞行為の自覚がありますが、不倫相手にはその自覚がない可能性があります。

不貞行為をした配偶者が結婚していないと嘘をついて関係を持った場合や、不倫相手が配偶者に対して「この人は結婚していない」と信じるに足る十分な証拠がある場合、不倫相手には慰謝料の減額、または請求できない可能性があります。

この場合には不貞行為の責任が配偶者にあるとされ、慰謝料は配偶者に請求することが出来ます。

一方不倫相手が、あなたの配偶者を既婚者と知りながら関係を持っていた場合、慰謝料は増える傾向にあります。

不倫しているパートナーに慰謝料を請求する方法

不倫しているパートナーに慰謝料を請求する方法
不倫しているパートナーに慰謝料を請求するには、まず不貞行為の証拠を集めることが重要です。

証拠としては、メールやLINEのやり取り、写真、探偵が作成した調査報告書などが有効です。

次に、弁護士などの専門家に相談し、請求方法を確認しましょう。

慰謝料は、自分の配偶者と不倫相手にも請求できる場合があります。

請求する際は、内容証明郵便を使って正式に通知を送ることが一般的です。

以下では不倫をした配偶者、不倫相手に対する慰謝料請求について確認していきます。

不倫をした配偶者への慰謝料請求

慰謝料請求はまず話し合いから行われる場合が多いですが、ここで配偶者が不貞行為を認めない場合、何らかの対処をすることが必要になります。

具体的には、以下の対処法が効果的です。

  1. 弁護士に同席してもらう
  2. 裁判を起こして裁判所から支払いを請求してもらう

不倫相手にも慰謝料を請求できる

慰謝料請求では不倫相手にも慰謝料請求をすることができます。

この時、不倫相手が風俗店などでサービスを行った従業員である場合、慰謝料の請求ができませんので注意してください。

配偶者と不倫相手両方に慰謝料請求をした場合、不真正連帯債務という状態になり、どちらかが全額支払えばもう一方の支払い義務は消滅します。

そのため、慰謝料が2倍になることはありません。

また、配偶者への請求を免除し、不倫相手にのみ請求することも可能です。

慰謝料請求を考える際は、自分の気持ちや夫婦関係を改めて整理し、冷静に行動することが大切です。

まとめ

当記事では、不倫はどこからなのか、定義や不貞行為の意味、慰謝料請求の条件について詳しく解説しました。

配偶者の不貞行為に気付いたときは本当にショックで、何もできない状態が続いてしまうかもしれません。

しかし、「離婚したい」「慰謝料をもらいたい」という気持ちがある場合はなるべく早めに動き出すことが大切です。

もちろん精神的につらい場面もたくさんありますが、弁護士や探偵に相談して手続きを進めるとともに、信頼できる友人や家族につらい気持ちを打ち明けてみてください。

決して証拠集めだけが目的となってしまわないよう、自分にとって何をするのがベストなのかをふとした時に意識してみてくださいね。

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田村 淳
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