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W不倫で慰謝料はいくら請求できる?金額の相場や増額できる条件を解説

W不倫で慰謝料はいくら請求できる?金額の相場や増額できる条件を解説

W不倫(ダブル不倫)では、2組の夫婦の配偶者が不倫関係にあるため、慰謝料の請求はどうなるのでしょうか。「お互いに請求したら意味がないのでは?」と考えるかもしれません。しかし、慰謝料に関して一方が不利になることもあります。

W不倫で慰謝料の請求を検討している方に向けて、慰謝料の相場価格や増額になり得る条件、請求する際の流れなどについて紹介していきます。

  • W不倫の慰謝料請求の考え方
  • W不倫で慰謝料が増額になる要素
  • W不倫で慰謝料を請求する流れ

W不倫(ダブル不倫)とは

W不倫(ダブル不倫)とは、既婚者と既婚者が不倫関係になることをいいます。通常の不倫は既婚者と独身者が不倫関係になるのを指すのに対して、既婚同士という違いがあります。

たとえば、A夫とA子が夫婦で、A夫が独身のB子と不倫関係になるのは通常の不倫です。これに対して、A夫とA子が夫婦で、C夫とC子が夫婦の場合に、A夫とC子が不倫関係になるのはW不倫に該当します。

W不倫のよくある事例として、以下が挙げられます。

【W不倫のよくある事例】

  • マッチングアプリなど出会い系でのW不倫
  • 社内でのW不倫
  • 夫婦同士が知り合いでのW不倫
  • 同窓会での再会によるW不倫

W不倫で慰謝料は請求できる?


W不倫でも通常の不倫でも、慰謝料が請求できるのは不貞行為があったことが認められる場合です。不貞行為とは、既婚者が配偶者以外と、お互いの自由な意思のもとで、性行為(=肉体関係)を持つことをいいます。前戯や口淫といった性交類似行為も、通常、肉体関係を結んでいるとみなされます。

既婚同士が親密な関係にあり、食事や映画、ドライブなどデートをしたり、手をつないで歩いていたり、頻繁にメールなどのやり取りをしていると、浮気ともとれます。しかし、不貞行為がなければ、慰謝料を請求することは基本的にはできません。

キスはグレーゾーンですが、キスをした事実だけでは慰謝料を請求するのは難しいとされています。

W不倫の慰謝料は請求する意味がない可能性も

不倫をされた側は、配偶者と不倫相手のいずれか、あるいは配偶者と不倫相手の双方へ慰謝料を請求することができます。ただし、配偶者と不倫相手の双方に請求することで、受け取れる慰謝料が2倍になるわけではありません。

W不倫の場合も、配偶者と不倫相手に慰謝料を請求することが可能です。とはいえ、不倫相手の配偶者からも、自身の配偶者と不倫相手に慰謝料を請求されることが考えられます。そのため、直ちに離婚するケースを除くと、世帯単位では相手側から受け取る慰謝料と、相手側に支払う慰謝料を踏まえると、慰謝料を請求する意味がなくなる可能性が否めません。

こうしたケースでは、双方が慰謝料を請求しない形で和解することもあります。

W不倫の慰謝料請求において不利になるケース

W不倫の慰謝料請求において、自身の配偶者が不利になるケースとして、以下が挙げられます。

【W不倫の慰謝料請求において不利になるケース】

  • 相手夫婦の方が婚姻期間が長い
  • 自身の配偶者が主導した不倫である
  • 自身の夫婦関係が不倫前から破綻している
  • 自身の配偶者が未婚であると嘘をついている
  • 自身の配偶者の方が収入が多い
  • 相手夫婦だけW不倫が原因で離婚した
  • 相手夫婦にのみ子どもがいる
  • 相手夫婦の方が子どもが小さい、子どもの人数が多い

W不倫は双方の配偶者が被害者となるため、世帯単位で考えると慰謝料を支払い合う形になります。しかし、慰謝料には精神的な苦痛を補填する目的があり、実際には様々な要素をもとに決定するため、金額が異なる場合が多いです。

そのため、自身の配偶者の方が不利で慰謝料を多く支払わなければならないケースや反対に相手が多く支払わなければならないケース、あるいは一方だけが慰謝料を請求されるケースもあります。

W不倫の慰謝料の相場価格


W不倫の慰謝料の価格は、不倫による夫婦関係への影響によって異なります。離婚しない場合には、不倫による夫婦関係への影響が小さいとみなされるため、離婚に至った場合よりも慰謝料が低く抑えられます。

W不倫後も婚姻関係を継続する場合 50万円~100万円程度
W不倫が原因で離婚に至った場合 200万円程度

上記はあくまでも目安ですので、実際にはそれぞれの夫婦の状況によって異なります。

W不倫の慰謝料請求の判例

実際の裁判では様々な要素を加味して慰謝料が判断されます。W不倫の慰謝料請求の判例を2つ紹介します。

■ 事例1:一方が積極的に不倫関係を持ちかけたケース
妻と不倫相手の男性は同じ会社に勤務し、お互いに既婚者という認識を持っていた。不貞行為の回数は3回と少ないが、不倫相手から好意を伝えて積極的に不貞行為に及び、関係を継続。不倫相手の男性への慰謝料請求175万円が認められた。

■ 事例2:責任を矮小化しようとしたケース
結婚8年目で2人の子がいる夫婦の妻が、趣味で知り合った男性とお互いに既婚者と知りながら不倫関係になり、半年間の交際期間で性行為が20回程度あった。不貞行為が発覚した当初、不倫相手の男性は不倫の開始日を偽り、慰謝料請求に対する回答書でも虚偽の回答を行った。協議離婚後の慰謝料請求では、不倫相手の男性の責任を矮小化する行為によって、夫の精神的な苦痛が増加したことが認められ、440万円の慰謝料請求に対して、弁護士費用32万円を含む352万円が認められた。

慰謝料が増額になりえる条件

W不倫では通常の不倫と同様に、慰謝料はさまざまな要素をもとに決まります。慰謝料を決定する要素のうち、相場よりも増額になり得る条件として、以下が挙げられます。

【慰謝料が増額になり得る条件】

  • W不倫の頻度や期間
  • 精神的苦痛の度合い
  • 婚姻期間の長さ
  • 相手の収入や社会的地位
  • 子どもの有無
  • W不倫の主導権の存在

W不倫に関して法的に決まった慰謝料の金額はなく、これらの条件をもとに話し合いなどで、相場から増減を行って決定します。双方が慰謝料を請求した場合には、相手側よりも不利になるケースも、有利になるケースもあります。慰謝料が増額になり得る条件について、それぞれ詳しくみていきます。

W不倫の頻度や期間

W不倫の関係にある期間や不貞行為の回数は、慰謝料の金額に大きく影響する要素です。不貞行為を行っていた期間が長く、回数が多く、長期にわたって頻繁に繰り返しているほど、慰謝料が増額される可能性があります。

一方で、不貞行為が1回程度など極めて回数が少ないケースでは、慰謝料が数十万円程度になるなど、減額されることが多いです。

精神的苦痛の度合い

W不倫によって受けた精神的苦痛の度合いが大きいほど、慰謝料が増額される可能性があります。

たとえば、W不倫によってうつ病や自律神経失調症、適応障害などを発症したり、睡眠障害や摂食障害に陥ったりするなど、身体へのダメージが顕著であるケースが挙げられます。また、W不倫によるストレスにより、仕事や日常生活への影響が生じたケースも、精神的苦痛の度合いが高いと判断されやすいです。

このほかには、不倫相手が相手の配偶者に対して離婚を迫るなど、相手の家庭を壊そうとしていることが認められるケースは悪質なことから、精神的苦痛の度合いが大きいとして、慰謝料が増額になりやすいと考えられます。

婚姻期間の長さ

婚姻期間が長いほど、慰謝料は増額される可能性が高くなります。ただし、婚姻期間が1年でも長ければ慰謝料が高くなるというわけではなく、5年ごとの区切りで考慮するのが一般的です。

一般的な相場ですが、婚姻期間の長さを加味した慰謝料の目安は、「5年未満:50万円~300万円」「5年超10年未満:50万円~500万円」「10年超20年未満:100万円~400万円」「30年以上:200万円~1,000万円」です。実際には慰謝料は不倫期間、不倫相手の収入や社会的地位、夫婦の状況といった他の要素も踏まえたうえで決まります。

反対に婚姻期間が1年未満など短い場合には、慰謝料が相場よりも減額となる可能性があります。ただし、結婚したばかりの不倫の慰謝料は増額になるケースもあるなど、一概にはいえません。

相手の収入や社会的地位

不倫相手の収入や社会的地位も、慰謝料の増額に関わる要素です。不倫相手の年収が高いケースや、勤務先で重要な役職に就いているケース、あるいは多くの資産を保有しているケースなどが該当します。こうしたケースでは、不倫相手に経済的なゆとりがあるためです。

反対に不倫相手の収入が低い場合には、増額できる条件に当てはまるものがあった場合でも、請求できる慰謝料が低くなってしまうことがあります。

子供の有無

子供の有無も慰謝料に影響する要素であり、未成年の子供がいる場合には増額となる可能性があります。特に高額な増額となりやすいのは、子供が小さいケースや子供の人数が多いケースです。未成年の子供がいる場合は生活面の影響が大きく、不倫による精神的な苦痛も大きくなりやすいと考えられるためです。

さらに、不倫のために子供を置いて出かけていたケースでは、育児放棄をしていることや子供への影響から、慰謝料の増額の要因となります。

W不倫の主導権の所在

W不倫の当事者の関係性では、主導権がいずれかにあったかによって慰謝料が変動します。W不倫の主導権を持ち、既婚者と知りながら積極的に不倫関係を持った側の慰謝料が、責任の重さから増額となることがあります。

具体的には、不倫関係を持つことを誘った証拠や頻繁な連絡した証拠により、主導権がどちらにあるかわかるケースが該当します。

慰謝料を請求するまでの流れ

W不倫で慰謝料を請求する際には、基本的に以下のステップで進めていきます。

【慰謝料を請求するまでの流れ】
  1. 不倫の証拠を集める
  2. 慰謝料の請求額を決める
  3. 内容証明郵便で相手に請求する
  4. 合意しない場合は調停を検討する

W不倫では相手の配偶者からも慰謝料を請求する可能性があるため、離婚せずに婚姻関係を継続する場合は、不倫をされた配偶者も、世帯単位では経済的な負担が発生する可能性があります。そのため、妥当性のある金額を慰謝料として請求し、損をしないようにすることが大切です。

慰謝料を請求するまでの流れをステップごとに見ていきます。

1.不倫の証拠を集める

W不倫で慰謝料を請求するには、不倫の証拠を押さえる必要があります。不倫相手と肉体関係を持った証拠と、相手が既婚者と知りながら交際していたことを示す証拠の2つの収集が必要です。

不倫の証拠となるものの例として、以下が挙げられます。

【不倫の証拠となるものの例】

  • 配偶者と不倫相手がラブホテルに出入りする写真・動画
  • 配偶者と不倫相手が自宅へ出入りする写真・動画
  • 配偶者と不倫相手の性行為や裸体の写真・動画
  • 配偶者と不倫相手の旅行の写真
  • ホテルの領収証
  • 性行為があったことがわかるメールやSNSなどのやり取り
  • 配偶者と不倫相手の会話の録音
  • 不倫関係の自白による念書・録音
  • 携帯電話での通話記録
  • クレジットカードの明細
  • ドライブレコーダーの記録
  • GPSの記録

決定的な証拠を押さえられないケースでも、多くの間接的な証拠を収集することで、慰謝料を請求できる可能性が高まります。

不倫が強く疑われるケースであっても、そもそも証拠がなければ、慰謝料を請求して認められるのは難しい状況となります。とはいえ、不倫はバレないように隠れて行われることがほとんどですので、有力な証拠を集めるのは簡単なことではありません。

「証拠をつかめない」「なかなか決定的な証拠が得られない」といった場合には、探偵事務所に調査を依頼するのがおすすめです。

2.慰謝料の請求額を決める

不倫の証拠を集めることができたら、次に慰謝料の請求額を決めます。慰謝料は相場をもとに妥当性のある金額を請求するのがポイントです。

たとえば、1回の不貞行為で数百万円を請求するといった法外な要求を行うと、不倫相手の反発を招き、交渉がスムーズに進まなくなる可能性があります。不倫という事実に直面すると、激高したくなるのは当然ではありますが、感情に任せて不当な金額の慰謝料を請求しないようにしましょう。

W不倫の慰謝料には相場がありますが、様々な要素にもよるため、妥当な請求額がわからない場合は、弁護士に相談する方法もあります。

3.配偶者もしくは不倫相手と話し合う

そして、まずは配偶者と不倫相手に対して、慰謝料を請求する旨と請求額を直接伝えて、話し合いによる解決を目指すのが一般的です。不倫相手の連絡先がわかる場合には、メールやLINEといった記録が残る形で連絡するのが望ましいです。

慰謝料請求の話し合いは、不倫相手の配偶者が不倫の事実を知っている場合は、自身と配偶者、不倫相手、不倫相手の配偶者の4者で行うのが基本です。一部の関係者での話し合いを避けることで、問題の悪化を回避するとともに、双方の被害者が誰に対していくらの慰謝料の請求を行うのか明確にし、双方の支払いの交渉をまとめて行えます。

不倫相手の配偶者が不倫の事実を知らない場合には、基本的に3者で話し合いをします。

4.内容証明郵便を送付する

不倫相手が慰謝料請求の話し合いに応じない場合には、内容証明郵便を送付します。日本郵便による内容証明郵便は、いつ、どのような内容の文書を誰から誰宛てに送付したのか証明するサービスです。

内容証明郵便の送付によって、慰謝料請求の消滅時効を一時的に中断できるほか、相手側に圧力をかける目的もあります。不倫の慰謝料の消滅時効は不貞の事実や不倫相手を知ったときから3年、最後の不貞行為から20年です。

内容証明郵便には、「タイトル(慰謝料請求書など)」「不貞行為の事実」「不貞行為によって精神的な苦痛を受けたこと」「不貞行為は不法行為に当たること」「慰謝料請求など不倫相手へ要求する内容」「慰謝料の振込期日・振込先」「要求に応じてもらえない場合の措置」「差出人と受取り人(不倫相手)の住所・名前」などを記載します。

5.合意しない場合は調停を検討する

不倫相手が話し合いに応じないケースや話し合いが進まないケースなど、慰謝料の合意に至らない場合には、調停の申立てや訴訟提起を検討します。

不倫の慰謝料に関わる調停では簡易裁判所で行われ、調停員が間に入って仲裁し、話し合いによる解決を目指すものです。双方が合意に至った場合には、裁判所によって調停調書の作成が行われます。調停は不倫相手と直接交渉を行う必要がなく、弁護士をつけずに対応することも可能といった点がメリットです。ただし、調停には出頭の義務がないため、不倫相手が出てこない可能性があります。

慰謝料請求訴訟を行う場合には地方裁判所に提起します。訴訟を起こすと判決によって慰謝料が確定するほか、裁判所から和解を進められることもあります。訴訟を起こす場合には、弁護士に依頼しないで進めるのはハードルが高いため、早めに相談をしておきましょう。

まとめ


W不倫は双方の被害者が慰謝料を請求できるため、通常の不倫よりも慰謝料請求が複雑になるという難しさがあります。また、W不倫の慰謝料を請求するには、通常の不倫と同様に不貞行為の証拠が必要です。

不貞行為の証拠を集めるのが難しい場合には、探偵事務所に依頼することで、配偶者や不倫相手が言い逃れるのが難しくなり、スムーズな解決につながる可能性があります。慰謝料の請求に関するサポートは、弁護士に相談することを検討しましょう。

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