離婚離婚手続きの流れを方法別に解説|離婚を成立させるためには何から始めればいい?

離婚手続きの流れを方法別に解説|離婚を成立させるためには何から始めればいい?

離婚の手続きは必ずしも簡単に行なえるわけではありません。離婚をするには主に3つの方法があり、双方の主張によってどの方法を取るべきかが異なってきます。方法によってはかなりの期間を要するものもあれば、手続きに必要な書類も異なります。

そこで本記事では、離婚の方法別に手続きの流れについて解説します。離婚を検討している場合には、自身がどの方法を選択すべきかを確認し、それぞれの手続きについて確認しましょう。

離婚する方法は3つ


離婚する方法は「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3通りがあります。それぞれの詳細は以下の通りです。

内容 離婚までの期間 費用の目安
協議離婚 妻と夫、双方の話し合いの末に離婚届けを提出する方法。基本はお互い合意のうえで離婚に至る。 話し合いがまとまり次第 0円
調停離婚 双方の話し合いの方法が直接的では無く、間接的に何かが設けられる方法。話し合いが裁判所、話し合いに仲介人が入る、など。 3~6ヶ月 弁護士に依頼した場合は40~70万円
裁判離婚 直接的な話し合いをせず、法廷の場で争うことになる方法。双方の主張を踏まえ、最終的には裁判所が判決を下す。 1~2年 約2万円+裁判所

離婚届けを出すまでの過程における双方の話し合いが、円滑に進むかどうかで方法が異なります。双方の話し合いが円滑に進められず、法的な視点で判断を求めなければいけなくなったら調停離婚、裁判離婚と変わっていきます。

以降では、それぞれの離婚方法における離婚成立までの流れについて解説します。

協議離婚が成立するまでの流れ


協議離婚が成立するまでの流れは以下の通りです。

【協議離婚が成立するまでの流れ】

     1. 双方が離婚に合意する
     2. 離婚協議書を作成する
     3. 離婚協議書を公正証書にする
     4. 離婚届を提出する

双方が条件に合意し、その内容を公正証書にすることが出来たら、あとは離婚届を役所に提出するだけです。協議離婚は、双方が納得のできる条件で折り合える場合のみ取れる方法なので、もし折り合いがつかない場合は調停離婚か裁判離婚という選択肢になってしまいます。

双方が離婚に合意する

協議離婚の場合、離婚を切り出したら相手方も含めて離婚の内容に合意しなければ次に進めません。もし、離婚に合意が得られなかった場合は、調停離婚か裁判離婚へ変更しなければいけない可能性があります。

以上のことを踏まえ、離婚内容に双方が合意するまでの流れを解説します。

     1. 離婚を切り出す
     2. 離婚の条件について話し合う
     3. 双方が条件に付いて納得がしたら、合意という形で次のステップに移る

まずは離婚を切り出します。その際、離婚に至るまでの原因やそれに伴った証拠があれば事前に準備しておきましょう。事前準備が相手に合意をしてもらうきっかけにもなり得ます。

離婚したい旨を話したら、次は条件についてです。条件は主に以下の内容を話し合います。

     ● 慰謝料
     ● 財産分与
     ● 親権
     ● 養育費 など

上記の話し合いが最も難関で、双方が合意に至らないケースのほとんどが条件に関する部分であると言えます。相手方に非があったとしても、法外な請求をしてしまえば合意に至る可能性は低くなります。そのため、話し合う上でもそれなりの相場観を把握しておく必要があるでしょう。相場については以下でご紹介する関連記事でも取り扱っているので参考にしてみてください。

関連記事:DV離婚の慰謝料相場はいくら?高額・少額になる具体的なケースと増額のポイント
関連記事:養育費の相場はいくら?年収別や子供の人数別での相場シミュレーションあり
関連記事:浮気・不倫の裁判で請求できる慰謝料相場はいくら?高額請求できる場合とできない場合の違い

相手方の合意が得られたら次のステップへ進みます。

離婚協議書を作成する

離婚協議書とは、協議離婚の際に作成する書面のことで、話し合った内容をまとめます。無条件の離婚なら別ですが、慰謝料や養育費など金銭が大きく絡む場合には、離婚協議書を作成することで、話し合いで決まった内容を証拠として残しておくことが可能です。

口頭だけの話し合いだと後々トラブルの要因となるので、協議書は作成しておきましょう。

離婚協議書を公正証書にする

公正証書とは、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことです。話し合った内容を離婚協議書にまとめ、公証人に公正証書として作成してもらえば、強い効力を持つ証拠として役立ちます。離婚協議書よりも信頼性が高いため、後々金銭面で揉めた際に役立つでしょう。

また、公正証書に強制執行認諾文言を付けてもらえば、離婚後に費用の支払いが無かった場合は強制執行によって財産を差し押さえることも可能です。ただし、差し押さえる財産等が無ければ差し押さえ自体ができない可能性があります。

離婚届を提出する

ここまでの工程をすべて完了したら、離婚届を役所に提出しに行きます。提出後に受理されたら、その時点で離婚は成立です。離婚届けは、夫婦の本籍地、もしくはどちらかの所在地の役所に提出しなければいけません。

調停離婚が成立するまでの流れ


調停離婚が成立するまでの流れは以下の通りです。

【調停離婚が成立するまでの流れ】

     1. 調停の申し立てを行う
     2. 呼出状が届く
     3. 調停期日が開かれる
     4. 調停が成立する

調停離婚は、相手との協議が困難である場合にとる離婚方法です。まずは裁判所に調停の申し立てを行います。申し立てが受理されたら呼び出し状が届き、指定された時間に裁判所へ行かなければいけません。そこで第一回の調停が実施され、話がまとまらなければ二回、三回と続いていきます。

調停の申し立てを行う

調停の申し立ては、家庭裁判所に行ないます。基本は申し立てられる側が住んでいる場所が管轄の裁判所へ申し立てますが、双方の合意がある場合にはその他の裁判所へ申し立てることも可能です。

申し立てをする際には、申立書を含む必要書類(話し合いの内容によって異なる)を家庭裁判所に提出する必要があります。提出方法は持参、もしくは郵送です。郵送の場合は簡易書留など追跡記録を確認できる方法で提出するようにしましょう。

呼出状が届く

申し立てが受理されると、裁判所から呼出状が届きます。申し立てから大体2週間で手元に届くので、内容に従って裁判所へ行きましょう。また、調停期日は1~2か月後くらいに指定されます。

調停が開かれる

調停期日になったら、実際に裁判所へ向かいます。調停期日とは、実際に裁判所へ出向く日のことで、申し立て後に送られてくる呼び出し状に詳細が記載されているので確認しておきましょう。当日は、裁判所での受付処理もあるため指定の時間よりも少し早めに着くようにしてください。

また、当日は持って行かなければいけないものがいくつかあるので忘れないようにしましょう。

     ● 呼出状
     ● 印鑑
     ● 身分証明書

調停は、調停室で行なわれます。その際は相手方も同席することになるので、心の準備をしておきましょう。

調停の内容は、主に双方の主張の聴き取りがメインとなり、調停委員が内容を確認します。自身と相手方の主張を交互に説明していく流れで調停は行われ、必要なやり取りが完了したら終了します。大体2~3時間くらいはかかると想定しておいた方が良いでしょう。

調停が成立する

調停の内容を踏まえ、調停委員は双方に解決策を提示します。解決策に双方が同意をした場合は、それで終了となり、調停成立です。

もし双方が合意をしなかった場合は、第二回の調停が開かれます。第二回でも合意が得られなかった場合は、三回、四回と再度実施していくことになるでしょう。

ちなみに、延々と合意が得られなかった場合には「調停不成立」となるケースもあります。調停不成立の場合、当事者の申し立てによって離婚裁判へ移ることも可能です。

調停取り下げについて

申立人は、調停の途中であっても申し立てを取り下げることが可能です。申し立てが取り下げられるケースとしては、以下のケースが考えられます。

     ● 双方の関係が修復し、再度夫婦生活を送ることとなった
     ● 離婚内容について双方が個別で話し合い、双方が合意して離婚することとなった

取り下げをする際に特別な理由は必要ありません。結果として双方の合意のもと離婚することになったなら、それは協議離婚に至ったということになります。

裁判離婚が成立するまでの流れ


裁判離婚が成立するまでの流れは以下の通りです。

【裁判離婚が成立するまでの流れ】

     1. 訴状を提出する
     2. 口頭弁論の期日が通達される
     3. 口頭弁論が開かれる
     4. 判決が出る

裁判離婚では、離婚する際の条件(慰謝料など)を裁判官が一切の事情を考慮したうえで定めます。まずは訴状を提出し、そこから口頭弁論を経て判決が裁判官より下されます。判決内容は判決書にて通達され、双方に不服が無ければ成立です。もし不服がある場合には、控訴すれば高等裁判所で改めて審理することができます。

訴状を提出する

訴状とは、裁判を起こした人の主張が記載されている裁判所に提出する書面のことです。訴状は、簡易裁判所の定型用紙を使用するか、各地の裁判所のWebサイトからダウンロードできます。訴状には以下の内容を記載します。

     ● 原告と被告の本籍・住所・氏名
     ● 親権者の指定について
     ● 慰謝料の金額
     ● 財産分与について
     ● 養育費の金額と支払期間、支払期日
     ● 離婚の原因 など

これらの記載が完了したら、双方どちらかの住所地にある家庭裁判所へ訴状を提出しましょう。

口頭弁論の期日が通達される

口頭弁論とは、双方の当事者または訴訟代理人が公開の法廷において、裁判官の前で争点に関する主張を述べ合うことを指します。この場での内容を踏まえて、最終的に裁判官は判決を下します。

訴状が受理されると、口頭弁論の期日が通達されます。期日は、訴状の提出から大体1か月後に設定されることが多いです。

ちなみに、期日の1週間前までに答弁書が相手方から提出される場合があります。訴状に対する内容に事実とは異なる点や認識違いがあった場合には、答弁書としてその旨が記載され、口頭弁論の際に反映されるでしょう。また、答弁書の内容は、自身のもとへも送られてきます。

口頭弁論が開かれる

期日になったら、口頭弁論が開かれます。もし、弁護士に依頼している場合は、代わりに弁護士が出廷してくれるケースもあるでしょう。

最初の口頭弁論では、訴状をベースに(ある場合は答弁書も)双方の争点に関する主張を確認します。主張に対する証拠がある場合には提出が求められます。

基本は「主張の確認→証拠の提出」といった流れで口頭弁論は進められ、二回、三回と実施していきます。一回で口頭弁論が完結することはまずありませんので覚えておきましょう。

尋問が実施される

主張を確認のうえ、それぞれの証拠が出揃ったら尋問が実施されます。尋問というと聞こえが悪いですが、基本的には裁判官や代理人弁護士からの質問に答える場と覚えておくと良いでしょう。質問に答えていくことで、証拠の信ぴょう性や主張に対する事実の立証を行ないます。

ちなみに、尋問が実施される前には「陳述書」という主張をまとめた書面を提出しているのが一般的です。尋問は、原告と被告の双方に行なわれ、原告側の弁護士、被告側の弁護士、裁判官の3者から質問を受けることになります。

判決が出る

口頭弁論と尋問を経て、双方の主張に対する事実の立証が完了したら判決が出ます。ここで言う判決とは、訴訟した側の離婚請求が認められるかどうかという判決になります。

判決は、最後の口頭弁論から約1か月後に言い渡されます。判決内容の詳細については「判決書」で通達されるのですが、この書面は大体判決が出てから数日で手元に届きます。

まとめ

離婚の手続きの方法は、協議離婚、調停離婚、裁判離婚によって異なります。協議離婚の場合は、双方が合意してしまえば、その内容を記載した公正証書を残して、後は離婚届けを役所に提出するだけです。

調停離婚の場合は、申立書の提出が必要です。申し立てが受理されたら、数回の調停を経て離婚が成立します。

裁判離婚の場合は、訴状の提出が必要です。訴状が受理されたら、口頭弁論が実施され、双方の主張を踏まえて裁判官が判決を下し、その内容に基づいて離婚が成立します。

協議離婚以外は、離婚に至るまで数ヶ月はかかるため、手続きから離婚完了までそれなりの負担が双方にかかるでしょう。また、弁護士に依頼する場合には数十万円の依頼料や手数料がかかるので、その点も把握しておく必要があります。

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