トップリーダーズインタビュー
Jトラスト株式会社 代表取締役社長 藤澤信義
放送日 5月30日、6月6日 火曜日 23:15~23:30
今回のラジオ日本『岡田真弓の未来相談室・トップリーダーズインタビュー』は、47歳にして、従業員2,751名を有し、東証2部に上場する『Jトラストグループ』を率いる藤澤信義社長をお迎えした。
『Jトラストグループ』は、アジア諸国で経営難に陥った銀行をM&Aにより買収し、事業再生や企業価値を向上させ、健全化を図ることで、その地域に密着した銀行経営を主としている。
普段はシンガポールにいるという藤澤社長。収録は、超ご多忙の中、帰国のタイミングを頂き藤澤社長の異色な経歴から始まった。
東京都港区のJトラスト株式会社の本社にて収録
冒頭にも触れたように、藤澤社長の経歴は異色だ。
東京大学医学部に在学中からゲームセンターでアルバイトを行い、東大を卒業後も医者になることはせず、そのままゲームセンターでアルバイトを続けた。この点を伺うと、「その質問、もう、何千人に聞かれているんですよ」と笑いながら答えて頂いた。
「確かに東大医学部は卒業しました。でも、9年かかっています、卒業するまで。だから劣等生なんです。ほとんど学校に行ってませんでしたけどね(笑)」。東大在学中からアミューズメント業界で働いていた藤澤社長。卒業後は、そのままアミューズメント業界に自然と入っていく。
「とにかく、アミューズメント業界は楽しかったです。当時は、“第二次UFOキャッチャーブームを作った男”、などと持て囃されもしました。プリクラの第一号機を、池袋のサンシャイン通りのゲームセンターに置いたりもしました。1回300円で、初日の売り上げが600円・・・二人しかやってくれなかったんです。プリクラの機械が1台150万円もしたんですよ」と笑う。
30歳になり「このままゲームセンターにいてもいいんだろうか・・・」という気持ちになり、当時の就職情報誌を見て金融の世界に入って行く。「まともに勉強したのは30歳からなんですよ」と語る。それが、今では、東証2部上場企業までに成長させ、3,000名近い従業員のトップだ。
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Jトラストの主たる業務はアジア諸国での銀行業だ。この点について藤澤社長は、「時代の必然的な流れであって、気付いたらこの形になっていた」と語る。
「Jトラストは日本国内でノンバンクを買収して成長していった会社です。でも、国内では、ノンバンクは銀行の傘下になっていったり、銀行の保証会社になっていったりと云う流れが決まっていました。そこには限界を感じていて、成長するには、次の一手を打つ必要がありました。その当時、韓国では経営難に陥っていた銀行が幾つかありました。たまたまですが、そこに参入するチャンスがあり、銀行を買収したのが最初でした。そして、韓国、インドネシアの銀行を買収と一つ一つ進めてきました」。
買収を進める中での苦労は、お国柄による考え方と文化の相異だという。再生するにも異国の地では、一から作る必要があった。利益が生まれるまで4,5年を要してきた。今では、30~40億の利益を生むようになってきたが、最初は大赤字だったそうだ。
これまで、アジア諸国で経営難に陥った銀行を買収してきた。そこには、地域の生活の質の向上を目的ともしている。
「銀行は本来、個人向けの融資は苦手としています。ですが、私たちは、“リテールファイナンス(個人に行う融資)事業は東南アジアで制覇しよう”、という目標を掲げて来ました。それは、大きな金額ではなくでも、個人が借りられる範囲にも間口を広げています。それによって、個人に大きなチャンスが生まれるようになります。例えば、東南アジアでは、水牛で農耕を行っている人がまだまだいます。銀行からお金を借りることが出来れば、農機具を買うことが出来て生産性も上がります。それによって新たな土地を買うことも出来ます。そして、生活を豊かにすることが出来ます。また、それを見た他の農民も借りたいと来ます。お金持ちになりたい、という気持ちが生まれ、欲が出てくる様になります」。
裕福な人にお金を貸すのは誰でもできること。生活水準の低い人にお金を貸してこそ意味があり、生活の質を高めて、返済もちゃんとしてもらう。藤澤社長は、このことが重要であり、これこそがやるべきことだと云う。
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「儲けよう儲けようと思っていると、儲からない」
藤澤社長にビジネスに対する考えと、ビジョンを伺うと、
「儲けよう儲けようと思っていると、儲からないような気がします。会社は利益を上げることは重要です。ですが、利益を上げることだけを考えていると、失敗するのではないかと思います。ビジネスで一番楽しいのは、考えて絵を書いて、シナリオ通りに効果が表れ、その結果が成功に繋がることだと思います」
成功を収めている藤澤社長であっても、これまでに、大きな失敗を経験してきている。だが、小さな失敗は恐れないでトライして欲しいという。人は失敗して成長するもの、失敗した人だからこそ成功するもの、と信じている。このことを社員には伝えているそうだ。
「今後は、東南アジアの市場は伸びていくと思っています。東南アジアでは、まだまだ銀行なり金融機関を増やしていこうと思っています。その中で、東南アジアでリテールファイナンス事業を制覇することを目指しています」
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最後に、藤澤社長に目標を伺った。
その結果、個人の目標は「どうやって楽をしようかと考えています」と云うが、実際は、「楽なんか出来ません。泣きそうです」笑う。
また、「社員を含め、自分の周りに多くのミリオネアを作って行きたい」と力強く語った。
さらに、企業としての目標は「一部上場に上がること」であり、「時価総額で1兆円を目指すこと」と答えて頂いた。実現は、そう遠くないであろう。
普段は、シンガポールで生活している。
「ただ飲んだくれているだけですよ」と笑う。もちろん冗談であることは分かっているが、その笑顔に惹きつけられる。また、シンガポールでは「藤澤さんですよね」と、日本のビジネスマンに声を掛けられることもあると云う。金融ビジネスに関わる人であれば、知らない人はいないだろう。
収録を終えての感想だが、藤澤社長からは偉ぶる感じが全くしない。きっとこのあたりにも成功の意味があるのだろう。
なお、Jトラストグループは今期の数字が8月から出て来るので、今後に期待して頂きたい。
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